魚薬軟膏

つけたらひび割れが治る薬。甘くてしょっぱい。 魚頭(うおあたま)とにとろでやってるびょーん

灰の残骸と消えた風船

 

 

 

私は自己表現が苦手なんだ。

そして人から嫌われるのも怖い。

ので、私は八方美人だと周りに言われる。

でも、ほんとはそうじゃない。

ただこわいだけ。

たくさんありすぎて何が怖いのかもわからない。

他人を蔑み嫌う自分が気持ち悪くて、はきそうだ。

自分が好きだという気持ちと、大嫌いな自分。

二人がぐるぐる回って目が回る。

 

  

 

部屋の掃除が苦手なんだ。

どれを捨てたらいいのかがわからない。

こういうのを優柔不断っていうのだろう。

どれも大切で、どれも苦しかった思い出が詰まってる。

きたないものはごみ箱に捨ててしまおうとするんだ。

でも、真っ黒な生き物がごみ箱から全部出してしまう。

ぶちまけたら、また集めて捨てなきゃならない。

 

 

 

もうめんどうなんだ。

人の悪口を言うのも、こぼれたものを掬うのも。

もう疲れたんだ。

壊れたものをつくろうことすら。

自分の手から離れていく風船を追いかけるのはやめにして。

また新しく作り直せばいいさ。

一度壊れたボロなんていらない。

 

 

 

どこか人目のつかないところで、燃やして捨ててしまおう。

灰になったら砕いて飲み込んでしまおう。

きみにばれないように。

 

 

 

私の口から灰の残骸一つ出さないようにして、

風船はいつの間にかなくなっていた。